UX起点デザイン

UX改善の成果を可視化し、開発チームと共有する方法

Tags: UX改善, 成果測定, チーム共有, オフィスツール, プロダクト開発

はじめに

プロダクト開発において、ユーザー体験(UX)の改善は重要な取り組みの一つです。しかし、UX改善の活動がどのような成果をもたらしたのかを明確にし、チーム内外の関係者と共有することは、継続的な改善サイクルを進める上で不可欠です。特に、デザイン専門ではない担当者にとっては、どのようにUX改善の成果を具体的に示せば良いのか、どのように開発チームに効果的に伝えれば良いのかが課題となることがあります。

この記事では、UX改善の成果を適切に測定し、特別なデザインツールを使わずとも、普段利用しているオフィスツールなどを活用して可視化・共有する方法について具体的に解説します。

なぜUX改善の成果を測定・共有する必要があるのか

UX改善の成果を測定し、開発チームをはじめとする関係者と共有することには、いくつかの重要な理由があります。

UX改善の成果測定で見るべきもの

UX改善の成果は、定量的な側面と定性的な側面の両方から捉えることが重要です。

成果を測定する際は、改善を実施した特定の機能やフローだけでなく、プロダクト全体や関連するビジネス指標への影響も考慮すると、より包括的な評価が可能になります。また、短期的な変化だけでなく、時間を置いて長期的な影響を確認することも重要です。

具体的な成果の可視化方法(オフィスツール活用)

特別なUX分析ツールがなくても、普段使用しているスプレッドシート、ドキュメント作成ツール、プレゼンテーションツールを活用して、UX改善の成果を効果的に可視化し、共有資料を作成できます。

1. 定量データの可視化

スプレッドシート(例: Microsoft Excel, Google Sheets)は定量データの集計と可視化に非常に役立ちます。

これらのグラフや表をドキュメントやプレゼンテーション資料に貼り付けることで、視覚的に分かりやすい報告資料を作成できます。

2. 定性データの可視化

ドキュメント作成ツール(例: Microsoft Word, Google Docs)やプレゼンテーションツール(例: Microsoft PowerPoint, Google Slides)は、定性的な成果をまとめ、ストーリーとして伝えるのに適しています。

3. 成果の統合とストーリーの構築

定量データと定性データを組み合わせることで、より包括的で説得力のある成果報告が可能になります。例えば、「XX機能の完了率がYY%向上しました(定量)。これは、以前多くのユーザーが操作に迷っていた原因となっていたZZ箇所のデザインを変更したためです。実際にユーザーからは『以前よりずっと分かりやすくなった』という声が多く寄せられています(定性)。」のように、数値の変化とその背景にあるユーザーの具体的な状況を結びつけて説明します。

プレゼンテーションツールを使って、これらの要素を組み込み、「ユーザーの課題」→「実施した改善」→「測定された成果(定量・定性)」→「その成果がもたらす意味(ユーザーへの影響、ビジネスインパクト)」という流れでストーリーを構成すると、聞き手が理解しやすく、共感を得やすくなります。

成果を開発チームに共有する際のポイント

作成した成果報告資料を開発チームや関係者に共有する際には、いくつか意識しておきたい点があります。

定期的にこのような成果共有の場を持つことで、チーム全体がユーザー視点を持ち続け、データに基づいた意思決定を行う文化が醸成されます。

まとめ

UX改善活動は、実施するだけでなく、その成果を適切に測定し、関係者に伝えることで初めてその価値を最大限に発揮します。非デザイナーであっても、普段使い慣れたスプレッドシートやドキュメント、プレゼンテーションツールを活用すれば、定量・定性の両面から成果を可視化し、説得力のある形で共有することが十分可能です。

成果を「ストーリー」として語り、開発チームをはじめとする関係者と積極的に共有することは、UX改善を持続可能な取り組みとするための重要なステップです。この記事でご紹介した方法を参考に、ぜひ皆さんのプロダクト開発チームでもUX改善の成果を見える化し、チームのモチベーション向上とさらなるプロダクトの成長に繋げていただければ幸いです。