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ユーザーニーズを知るためのリサーチ計画:オフィスツールで始める実践ステップ

Tags: UXリサーチ, 計画, オフィスツール, 非デザイナー, 実践

プロダクト開発において、ユーザーの真のニーズを理解することは成功の鍵となります。しかし、どのようにユーザーリサーチを進めれば良いか、特にどこから計画を立てて良いか分からないという方もいらっしゃるかもしれません。

ユーザーリサーチの計画は、限られた時間やリソースを有効活用し、目的に沿った質の高い情報を得るために非常に重要です。計画をしっかりと立てることで、リサーチの方向性が明確になり、開発チームとの連携もスムーズになります。

この実践ガイドでは、特別なデザインツールや専門知識がなくても、普段お使いのオフィスツール(Word、Excel、PowerPointなど)を活用して、ユーザーニーズを知るためのリサーチ計画を立てる具体的なステップをご紹介します。

なぜユーザーリサーチの計画が重要なのか

ユーザーリサーチは、単にユーザーの声を聞くだけではありません。何のために、誰に、何をどのように聞くのかを事前に定めておくことで、以下のようなメリットが得られます。

計画なしにリサーチを始めると、方向性が定まらず、必要な情報が得られなかったり、後から分析しづらいデータになってしまったりする可能性があります。

オフィスツールで実践するリサーチ計画のステップ

ユーザーリサーチの計画は、いくつかのステップに分解して考えると取り組みやすくなります。それぞれのステップで、どのようなオフィスツールを活用できるかご紹介します。

ステップ1:リサーチの目的と目標を設定する

まず、なぜそのリサーチを行うのか、具体的な目的と達成したい目標を明確に定義します。どのようなプロダクト課題を解決したいのか、ユーザーのどのような側面を理解したいのかを考えます。

目的設定には、「SMART」原則(Specific: 具体的に、Measurable: 測定可能に、Achievable: 達成可能に、Relevant: 関連性をもって、Time-bound: 期限を設けて)のようなフレームワークを参考にすると効果的です。

ステップ2:リサーチの問いを明確にする

目的が定まったら、その目的を達成するために具体的にユーザーからどのような情報を引き出す必要があるのか、「リサーチの問い」を設定します。これは、リサーチ中にユーザーに尋ねたり、観察したりする際に焦点を当てるべき質問のリストのようなものです。

ステップ3:ターゲットユーザーを定義する

誰から情報を得るべきかを明確にします。プロダクトやリサーチの目的に応じて、特定の属性(年齢、職業、経験レベルなど)や行動特性を持つユーザーを定義します。

ステップ4:リサーチ手法を選定する

目的と問い、ターゲットユーザーに基づいて、最適なリサーチ手法を選択します。代表的な手法には、ユーザーインタビュー(深層的な理解)、アンケート(広範な意見収集)、ユーザビリティテスト(操作性の評価)などがあります。非デザイナーの方でも比較的取り組みやすいのは、インタビューやアンケートです。

ステップ5:スケジュールと体制を計画する

リサーチをいつまでに完了させるか、誰がどの役割を担うかといったスケジュールと体制を具体的に計画します。

ステップ6:アウトプット計画を立てる

リサーチで得られた情報をどのようにまとめ、誰に共有するかを事前に計画します。インサイトの形式や報告会の方法などを検討します。

実務での活用と計画の見直し

作成したリサーチ計画は、関係する開発チームや他の部署のメンバーと共有し、フィードバックを求めましょう。計画段階での認識合わせは、後々の円滑な連携に繋がります。

また、リサーチは計画通りに進まないこともあります。対象者が見つかりにくい、想定外のユーザー行動が見られた、など、途中で計画の見直しが必要になる場合もあります。計画はあくまでガイドラインとして捉え、状況に応じて柔軟に変更することも重要です。計画をオフィスツールで作成しておけば、変更や更新も容易に行えます。

まとめ

ユーザーニーズを正確に理解するためには、事前の計画が不可欠です。目的設定からアウトプット形式まで、ステップごとに計画を立てることで、リサーチの質を高め、得られたインサイトをプロダクト開発に効果的に活かすことができます。

今回ご紹介したように、特別なツールがなくても、普段使い慣れたWordやExcel、PowerPointを活用すれば、ユーザーリサーチの計画は十分に実行可能です。まずは小さく始めて、ユーザー理解に基づいたプロダクト開発の一歩を踏み出してみてください。