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チームで始める オンラインホワイトボードツール活用:ユーザー理解ワークショップの具体的な進め方

Tags: UXデザイン, ワークショップ, オンラインツール, チーム開発, ユーザー理解

チームでユーザー理解を深めることの重要性

プロダクト開発において、ユーザーの真のニーズや課題を理解することは、成功に不可欠な要素です。しかし、ユーザー理解は特定の担当者だけが行うものではなく、開発に携わるチーム全体で共通認識を持つことが望ましいとされています。チームメンバーそれぞれが異なる視点を持っているため、協力してユーザー像を掘り下げることで、より多角的で深いインサイトを得ることができるからです。

特に、様々な役割を持つチームメンバーが共通のユーザー理解を持つことは、プロダクトの方向性を一致させ、手戻りを減らし、よりユーザーにとって価値のある機能やサービスを生み出すことに繋がります。

本記事では、非デザイナーを含むチームでも手軽に始められる、オンラインホワイトボードツールを活用したユーザー理解ワークショップの具体的な進め方をご紹介します。特別なデザインツールや専門知識がなくても、チームの協力を得ることでユーザー理解を深め、プロダクト開発に活かすことが可能です。

なぜオンラインホワイトボードツールなのか

UXデザインの実践には、様々なツールが活用されます。ユーザー理解を深めるワークショップにおいても、紙やホワイトボード、オフィスツールなどが用いられます。近年、特にリモートワーク環境でのチームコラボレーションにおいて有効なのが、MiroやFigJamのようなオンラインホワイトボードツールです。

オンラインホワイトボードツールがユーザー理解ワークショップに適している理由はいくつかあります。

これらの特性は、特にデザインツールに不慣れなメンバーがいるチームでも、創造的かつ効率的にユーザー理解ワークショップを進める上で大きなメリットとなります。

ユーザー理解ワークショップの目的

チームで実施するユーザー理解ワークショップの主な目的は、以下の通りです。

オンラインホワイトボードツールを使ったユーザー理解ワークショップの具体的な進め方

ここでは、オンラインホワイトボードツールを使って、チームでユーザー理解を深めるための基本的なワークショップの進め方を、共感マップの要素を取り入れながらご紹介します。これは一つの例であり、チームの状況や目的に応じて内容は調整してください。

ステップ1:準備

ステップ2:導入(10-15分)

ステップ3:実践パート(60-90分)

このパートでは、参加者それぞれがユーザーの視点に立って考え、オンラインボード上にアイデアや情報を書き出していきます。共感マップを例に進めます。

  1. 個人ワーク(15-20分):ユーザーの感情・思考を想像する

    • 各参加者は、オンラインボード上の共感マップテンプレートの各象限に対し、対象ユーザーが「見ていること」「聞いていること」「考えていること・感じていること」「言っていること・やっていること」を、既存の情報や自身の経験をもとに付箋として書き出します。
    • 付箋には具体的な内容を簡潔に記述します。一つの付箋に一つのアイデアや事実を書くように促します。
    • この段階では、アイデアの質よりも量を重視し、自由に発想することを促します。
  2. 共有とグループ化(20-30分):アイデアを共有し、類似するものをまとめる

    • 各参加者が書き出した付箋を順番に共有し、その意図などを簡単に説明します。
    • 共有された付箋の中で、内容が似ているものや関連性の高いものをグループ化していきます。オンラインホワイトボードツール上で付箋をドラッグ&ドロップしてまとめていきます。色の使い分けや図形などでグループを視覚的に整理することも有効です。
    • グループには、内容を表す見出しやラベルをつけます。
  3. 議論と深掘り(20-30分):なぜそうなのか、そこから何が言えるのかを議論する

    • グループ化された内容や、特に興味深い、あるいは意見が分かれた付箋について議論します。「なぜユーザーはそう感じるのだろう」「この行動の背景には何があるのだろう」といった問いを立て、深掘りします。
    • 議論を通じて出てきた新たな気づきや疑問点も、必要に応じて付箋として追加します。
    • ユーザーが抱える「Pain(痛み、課題)」や「Gain(得たいこと、メリット)」についても議論し、ボードの該当箇所に書き出します。

ステップ4:成果の共有とまとめ(10-15分)

ワークショップを成功させるためのポイント

まとめ

オンラインホワイトボードツールを活用したユーザー理解ワークショップは、プロダクト開発チーム全体でユーザーへの共感を深め、共通理解を築くための有効な手段です。非デザイナーを含むチームでも、明確な目的設定と具体的なステップを踏むことで、手軽に実践することができます。

このワークショップを通じて得られたユーザーに関するインサイトは、プロダクトの改善点や新しいアイデアの発見に繋がり、結果としてよりユーザーに寄り添った価値の高いプロダクト開発に貢献します。ぜひ、チームでのユーザー理解ワークショップを実践し、プロダクト開発に活かしてください。